空燃比 いまさら聞けない!?自動車用語辞典
「空燃比」
くうねんぴ

空燃比とは、エンジンに吸入される空気と燃料の比率(重量比)のこと。
ガソリンエンジンの場合、理論的には空気が14.7に対しガソリン1の比率で完全燃焼となり、出力・燃費共に理想的な状態といえる(理論空燃比)。
しかし、実際にエンジンの求める空燃比は冷却水温や負荷などで変化するため、コンピューター制御などによってコントロールされている。
例示すると、始動時は5:1、低回転・アイドリング時は12:1、低負荷な中速時は14〜17:1(経済空燃比)、スロットルバルブ全開時は13:1(パワー空燃比)等となる。
また、最近のエンジンは低燃費化のため低負荷な中速時に極端に燃料を薄めた希薄燃焼(リーンバーン)を行うものが多くなった。

同義語 A/F、混合比



以下、「世界自動車戦争論/福野礼一郎」p.009から抜粋

福野:
GT-Rのエンジンの凄いところはパワー空燃比での走行領域を狭くし、ほとんどのクルーズ領域を理論空燃比で走っていることです。ストイキで排気温度1000度℃というのは間違いなく世界最高レベルの技術です。

編集:
・・・・・・。

福野:
空気とガソリンの混合比率を薄くしてガソリンの比率を少なくしていくと排気温度が上昇します。ターボは熱エネルギー変換装置なんで排気温度が高いと効率が上がります。排気温度が高いとターボ下流の触媒装置の効率も向上します。つまり排気温度が高いというのはエンジンの熱効率が高いという証です。しかし通常のエンジンで排気温度が1000度℃になるほどガソリンを薄くすると、ノッキングが起こってパワーダウンしたり、焼き付きや異常磨耗を生じたりする。480馬力のエンジンの実用域の大半をストイキ(理論空燃比)でカバーする、これぞ世界の先端技術です。



排気温度のコントロールは最近のトレンドみたいですね。

・・・早く出してくれないかな・・・ - 五味康隆 【 みんカラ 】 ブログ
水野さんに会ったときに、
マフラー交換を考えていることを伝えると

「辞めたほうがいいよ!落ちるから・・・!」

と、改めて強く言われた。

その後、ホワイトボードを使い
「エンジンの直後で1000度の排気音でしょ!」
「で、排気抵抗はここで0,18でしょ!(写真参照)」
「抵抗が少ないからこそ、ほとんど温度が落ちずに●●●度で”たいこ”消音機まで達するんだよ」



ポルシェ911おゆずりします N54B30A型直噴ガソリン直6ツインターボユニット
すなわち高い排気温度に耐えられるということは、ターボ付きエンジンの常識であったガソリン冷却をしなくてすむということなのです。この部分だけで相当燃費を改善できたことでしょう。さらにガソリン冷却をしないと言うことは排気温度が高いまま(つまりガスとしてのエネルギーが高いまま)タービンに導かれますので、タービンの効率が上がる=コンプレッサーの仕事量が増えるということです。しかも、高い排気温度が冷めないように二重の排気マニフォールドとしています。さらに排気温度が高いから触媒の効率も上がってしまうわけです。すごい。




AIR FLOW
吸い込む空気量を増やせばパワーアップすると考えがちですが、パワーの源は燃料です。一般的な車では、排気バルブを焼損から保護するために、燃料冷却と言われる過剰な燃料噴射を行い、排気温度を下げる対策をしております(ナトリウム封入排気バルブを使えば排気温度が上がっても耐えられるのですが、コスト的な問題でGT-RやRAにしか採用されていません)。この過剰な燃料が噴射されているために、吸入空気量を増やしてもパワーアップと省エネを両立できるのです。しかしながら、環境対策された省エネカーでは吸気量に対して不足気味な燃料しか噴射されません。この様な車では吸入空気量を増やしても、省燃費運転には貢献(吸入抵抗低減により、ポンピング・ロス分の省エネ効果はあります)できるものの、燃料不足によりパワーアップは期待できません。



「なぜ、温度が下がるの?」
お答えします。金属ナトリウム封入バルブは、排気バルブ自体を冷却します。この冷却装置の仕組みは簡単でありながら効果があります。エンジンの吸排気に使われているポペットバルブ(茸型弁)の軸(ステム)が中空になっていて、その中に約50から60%のナトリウムが封入されています。

このナトリウムは90度くらいで液化して流動性のよいものになります。バルブが上下に動くときに内部のナトリウムが拡散して熱をシリンダーヘッドへ逃がして冷却するのです。

燃焼したときの排気バルブは1000度以上の高温にさらされます。もちろん、高出力なクルマほどバルブが高温にさらされます。そのため、ナトリウム封入バルブで排ガスの温度を下げ、ノッキングを低減し、排気バルブの破損を防ぐのです。







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2014-4-18追記
今だにこの記事にアクセスが多い。内容的には今でも通用するのかな。