このところずいぶん実家に帰っていなかったような気がしたけどそうでもなかった。実際1年周期で帰っている。母上が父上のことを相当老けたと言っていたが自分の目からはそうは見えなかった。だが二足歩行はそろそろ厳しくなってきている。速度的には時速1km/h以下かもしれない。それでもほとんど毎日バスにのり、都心(というか、街の中心部)に出かけていき、カフェでお茶をしているらしい。ここはパリか?


前回帰省時にくらべると私の体重は5kg以上増え、お腹周りもxxセンチ以上大きくなっており、太っただの髪型が気持ち悪いだの顔色が悪いだのと言われる。パソコンばかりいじっていないで山登りでもしなさいなどと。


レンタカーを借り、家族全員と親戚の叔母を連れまわす。九州の道路事情はこの10年で大きく進化した。長崎市内に直接高速から行けるのがすばらしい。感覚的には、等々力から第三京浜にのり、横横から逗子に抜ける、の約2倍くらいの距離感で福岡から長崎に行ける。鳥栖から長崎までの九州横断道路(?)がこれがまた非常にすばらしい。九州らしい、侵食が進んで丸っこくなっている古い山並みを見ながら160km/hで追い越し車線を爆走する。レンタカーはToyotaのWishだが6人乗車の状態でも平気で160km/hまで加速する。コーナーでも140km/hで曲がる。これが現代の日本のファミリーカーのレベル。

狭い道でバンパーを擦ってしまってレンタカー屋から2万円追加請求されたことは内緒。


クルマの話になったのでついでに九州のクルマ事情というかヒエラルキーについて。路上で普通に見かけるのはレクサスまで。たまにBMW。ポルシェは少ない。フェラーリなんて勿論居ない。地味に新しめのロータスが多い。多分近所のワインディングを走るにはあれがベストだと思う。でも家の周りをうろうろすると、結構最新のメルセデス(Cクラスのアバンギャルドとか)が普通に車庫に停まっている。



実家の周りは昔の(昭和40〜50年代に開発された)新興住宅地なので、道路は二台クルマがギリギリすれ違える程度の幅しかない。おそらくマイカー利用をそれほど想定していないためと思われる。東京の首都高速環状線がショボいのもそのせい。
このため多分土地の評価額としては結構低い方になってしまったと思われる。儲かったのは土地を売った地主だけ。街の開発としての失敗事例だと思う。
ただそうは言っても新築の家がたくさん出来ていて新しいファミリー引っ越してきている。調節池みたいなところで子供が釣りをしていたり、もっと小さい子供が普通に三輪車で競争していたりで、過疎化が進んだかと思っていたが意外に大丈夫かもという気がしてきた。こういうことは歩いて見て回らないと判らない。でももっと郊外に行けば、半分スラムみたいになっているところはたぶん有る。治安は確実に悪くなっている。



休暇の最後の日に、子供の頃意味も無く自転車でぐるぐる走り回っていたあたりを歩いてみた。地形はほぼそのままで、建物だけが一部新しくなっていて、なんというかタイムトリップしたような非現実的な感覚に襲われた。そこに自分がウン十年前に本当に居たのか、なんだか信じられないし、再びこの場所で生活をすることがあるとも思えない、そこで生活が出来る気がしない。なぜかそういうことを感じた。


東京出身の人に、ふるさとがあってうらやましい、などといわれることがある。たしかに「地元」としての福岡はあるが、実際来てみるとあんまり懐かしい感じがしなくなってきた。長いこと離れっぱなしで居たせいか、ふるさとへの愛着的なものは無くなり、それでもふるさと的なものを求める気持ちだけは残っている。そんな気がした。

いや違うかな。変化が激しくて、自分の中の昔の福岡のイメージとのギャップを埋められないだけなのかも。天神の三越のPaulでパンを買って、キハチでケーキを買っていると、今ここがどこか良くわからなくなった。何となく、もっと遠くに行きたくなった。ロンドンとか。とりあえず仕事がひと段落したら、どこかに行こうと思う。